見積もりで「30秒でいくらですか?」と聞かれても、AI動画クリエイターは制作の尺だけで即答してはいけません。僕はAIアニメーターなので、アニメ制作を例に書きます。
僕は同じ30秒のアニメでも、9万円で受けることもあれば、30万円で受けることもあります。
それは必要な作業量が案件によってまったく違うから。
尺だけを見て即答すると高く言いすぎて仕事を逃すか、安く言いすぎて自分の首を絞めます。僕も過去にそれで失敗しました。
AIアニメの価格は、クリエイター側が決めることが多い
AIアニメーターとして活動していると
「30秒くらいのアニメを作りたいのですが、いくらですか?」
「1分の映像なら、どれくらいで作れますか?」
と聞かれることがあります。
AIアニメはまだ新しい仕事なので、クライアント側も相場をよく分かっていません。
自分が作ってほしい映像を、AIならいくらで作れるのか判断しにくいのです。
そのため「予算はこれくらいです」と提示されるより、クリエイター側に見積もりを求められることが多いです。
ここで「〇秒なら〇万円です」と即答するのはNG。
同じ30秒でも、2日で作れる案件もあれば、1週間かかる重たい案件もあります。
まずは要望を詳しく聞き、必要な工程を整理する。そのうえで金額を出したほうがいいです。
① いま欲しいのは、実績か利益か
最初に考えるべきは「自分がその仕事から何を得たいのか」です。
実績や経験が欲しいのか。それとも、利益をしっかり残したいのか。
このスタンスの違いだけでも見積もりは変わります。
僕はAIアニメーターとして活動を始めた頃、
「従来は30秒のアニメに300万円くらいかかるなら、AIアニメで80万円で受けても安いのでは」と考えました。
従来価格の3分の1以下なので、30秒80万円でも受注できると思ったんですよね。
でも、受注できませんでした。
いま振り返ると、実績も経験も少ない状態で、いきなり80万円を提示するのはかなり強気です。
あとになって
「あのとき、もっと安く受けていたら、仕事も経験も実績も手に入っていたかもしれない」と後悔しました。
めちゃくちゃアホですよね。笑
駆け出しの時期にお金だけを追いすぎると、受注できず、実績も経験も増えません。
結果として、何も積み上がらない。
もちろん、もらえるなら高い金額をもらったほうがいいです。
ただ、まだ実績が少ないなら、最初は修行期間と考えて経験を優先するのがおすすめです。
② 難しい動きが、どれだけ含まれているか
次に確認したいのは、アクションシーンの量です。
AIアニメは動きが複雑になるほど生成回数が増えます。
最近僕が受けた案件には、主人公が柔道技で畳へ投げられるシーンがありました。
その場面だけで、10回以上は生成しています。わずか数秒のシーンです。
でも、その数秒を作るために何度も生成し、けっこうなクレジットを使いました。
一方、男女がカフェで隣に座り、お茶を飲んでいるようなシーンなら、2〜3回の生成で良い素材が出ることもあります。
同じ数秒でも、作業量と費用はまったく違いますよね。
バトルやスポーツなど、複雑なアクションが多い場合は、それを見積もりへ反映しないといけません。尺だけで安く受けると、生成費用で損をする可能性も。
③ 動画編集は、どこまで必要か
「AIで映像素材を作ったあと、どれくらい編集が必要なのか」も重要です。
たとえば途中にグラフを表示し、そのグラフを伸び縮みさせる。
こうした要望があれば、AI素材の生成だけでなく、動画編集の技術と時間も必要になります。
一方、僕がいま受けているWebマンガのワンシーンをアニメ化する案件なんかは、ほとんど編集がいりません。シーンが切り替わる部分に、簡単なトランジションを入れるくらい。
素材生成が中心の案件と、複雑な編集まで求められる案件。
この2つを、同じ尺だからという理由で同じ価格にしてはダメ。
クライアントが求めているのは、アニメ素材だけなのか。
編集まで含めた完成映像なのか。
ここは見積もり前に確認しておいたほうがいいです。
④ 生成クレジットはいくらかかるか
最後は、使用するツールとクレジット費用です。
「AIを使ったと分からないくらい、高品質なアニメにしてほしい」
と言われた場合、品質の高いSeedanceなどを使う必要があります。
となると、高品質な映像を作れる一方、クレジットの消費も激しい。
難しいシーンを何度も作り直せば、当然そのぶん生成費用が増えます。
それを考えずに安い金額で受けると、最終的な利益がガクッと減ります。
どのツールを使うのか。
ひとつのシーンに何回くらい生成が必要になりそうか。
クレジット費用を含めても利益が残るか。
このあたりまで考えて、見積もりを出す必要があります。
尺以外にも、確認することはたくさんある
実際の見積もりでは、ほかにも確認すべき項目はいろいろ。
キャラクターは何人登場するのか。
既存のキャラクターデザインがあるのか。
音声や声優の手配まで必要なのか。
こうした条件によっても、制作時間と費用は変わります。
だから僕自身、同じ30秒のアニメでも、9万円で受ける場合と30万円で受ける場合があります。
受注額は、本当に内容次第なんですよね。
「30秒なら30万円です」と高めに即答すれば、予算が合わないと思われて、その場で候補から外されるかもしれません。
逆に「30秒なら5万円です」と安く答えたあとで、めちゃくちゃ重い内容が来たら大変です。
まず案件の内容をくわしく聞く。
必要な作業と費用を整理する。
そのあとで、初めて金額を出す。
個人案件でも企業案件でも、この順番は変わりません。
駆け出しの時期は、お金だけを追わない
最後にひとつ強調するなら、最初から高い金額を狙いすぎないほうがいいです。
実績と経験が増えれば、ポートフォリオへ載せられる作品も増えます。そして作品を見せられるようになれば、次の仕事も受けやすくなる。
僕自身、最初からお金を追って仕事を逃した反省があります。
安売りし続ける必要はありません。
ただ、最初は経験を取りにいき、実績ができたら少しずつ単価を上げる。
遠回りに見えて、そのほうが近道だと思いました。
「〇秒ならいくらですか?」
そう聞かれても、焦って金額を答えないようにしましょ。
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